以前ちらっと書きましたが、私が子供を授かったことを知ったのは仕事を辞めようかな~と思っていた矢先。
当時はゆっくり夕飯の準備ができないことにもイライラし、この調子だと精神衛生上よくないからひとまず休んで心穏やかに妊活でも始めようかと腹をくくったところでした。
こういう話、妊活情報の掲示板でも時々見かけます。
「妊活も疲れたし、基礎体温を測るのをしばらくやめたら妊娠した」
「排卵日を気にする生活をやめたら子供ができた」
・・・などなど、まぁ数多いる夫婦の中にはそういう幸福な夫婦も時々いますよね~、と薄目で(いや白目だったかも)眺めていたものです。
中には「私も希望がわいてきました!」と、胸がズキズキするほど前向きなコメントをしている人もいますが、かれこれ何年も理系男子(男子という年齢でもないけど)と一緒にいる私としては「気持ちの問題」的な解決方法がひびかず。というか、本当に切羽詰まっている人に「少し忘れる」なんて技、難しすぎますから。
とにもかくにも心に余裕がなくなり周りの幸せもなんだか祝福できず、まさに幸せってなんだっけ(って考えたいけど考える時間もないし)な状態になっていた私。
そんな中、書店でよく目にして気になっていたのが「ヒュッゲ」という言葉です。
「世界で一番幸せな国」といわれるデンマークの概念で、ググってみると「居心地の良い時間や空間」といった言葉で表現されています。
もはや幸せランク何位か分からない(し、知るのもこわい)日本で実現できるのかと懐疑的だった私、気にはなっていたものの時間もないし(ネットサーフィンする時間はあったけど)と言い訳をして読んでいなかったのですが
育休というありがたい制度のおかげで久々に「幸せってなんだっけ」と考える時間も頂いたことだし一冊読んでみました。
こちらの著者、一流雑誌の編集者として一見華やかな世界で幸せなライフスタイルを提案しながらも、私生活では不妊治療を続け、コーヒーやお酒でストレスをまぎらわし、お金を使ってストレス解消という、これはこれで胸がズキズキするほど親近感をおぼえるプロフィールで…。
デンマークで生活を送る中で「幸せとは?」をあらためて考える(そしておめでたいことにご懐妊)というストーリー。
この本が自分探し留学日記や駐妻マダム日記(こういうのも面白いんですけどね)と違うのは著者が「書くこと」のプロということですかね。
ジャーナリストというだけあってきちんと取材・調査をして、ご丁寧にデータの引用元もその都度書いてあり、少し前に日本で騒ぎになったまとめ記事サイトのようなチープさもない。
何なら情報量が多すぎて、頭がフル回転していない私にはお腹いっぱい(実際、いっとき戦線離脱)になったくらい、内容が濃い。
今でこそピースフルな育休ライフを満喫中の私ですが、仕事をしていたときの自分がいかにストレスを手軽な消費によってごまかしていたかを痛感させられる内容でした。
そういえば、仕事をしているときはスタバやタリーズに足しげく通っては一人カフェタイムを楽しんだものだけど、海外のリゾート地や日本の田舎で「スタバでまったりしたいわー」なんて思わないんですよねー…
この著者のようにバリバリ働いている友人は会うたびに「ハワイ行きたい~」が口癖になっていますが、癒しのために働いているのか、働いているから癒しが必要なのか、まさに鶏と卵の世界です。
全力で働いて全力で遊ぶという血糖値スパイクみたいなアップダウンを楽しむ人も世の中にはいますけど。
一人カフェもそうそうできない&自由に使えるお金もあまりない(こっちの方が切実)私にとっては、お金を使って自分を癒す生活からの脱却が今後の人生のテーマになりそうです。
ちなみに、当初私は日本語版をKindleで読んだのですが、これはバイブルにしようっということでペーパーバックの英語版まで購入。トップの写真は英語版です。
(日本語版は誤植が散見されます。)
The Year of Living Danishly: Uncovering the Secrets of the World’s Happiest Country