アメリカの女優、ジェシカ・アルバが立ち上げた「The Honest Company(オネスト・カンパニー)」という会社があります。天然成分を中心に作られたベビーケア用品や家庭用品を扱う会社ですが、その想定時価総額が10億ドル以上にのぼるというニュースを目にしました。
ナチュラルな笑顔と健康的なセクシーさが魅力の彼女もいまや二児の母。世の中の家族が安心してくらせるような、安全で地球に優しいライフスタイルを追求する想いが、起業から現在の成長に至るまでの原動力になったといいます。
エコでもオーガニックでもLOHASでもなく、「Honest」という概念がキーワードとなって、それがひとつの価値として受け入れられている。ここに今の世の中が反映されているように感じます。
「Honest」は、「正直な」、「誠実な」、「本物の」といった意味で使われますが、そろそろほんとうに良質なもの・信じられるものを選びたい年頃にはなかなかひびく言葉です。
思い返すと、20代の頃の私は「節約できるところは節約して、お金をかけたいところにはお金をかける」ことで、ちょっと大人になった気がしていました。
スーパーではできるだけ安い食材を買って、デパートでは高級な化粧品を買う。流行の服はできるだけ安いものを買って、バッグはハイブランドで買う。
30歳を過ぎて、その節約はほんとうに正しい選択だったのか。お金をかけたけど、ほんとうに欲しかったっけ・・・こんな疑問をもつようになりました。
価格やいっときの流行のように表面的な部分にとらわれずに、自分が納得して選択して、ほんとうの意味で豊かさを感じられる―そんな生活をめざしてみようと思い始めたのです。
世の中にはたくさんの情報があふれています。
昔は自分から追い求めて、探して、選んでいたはずの情報が、今はあらゆるところから押し寄せてきます。
グルメ本やファッション雑誌に前ほどワクワクしなくなったのは、自分から探そうと思わなくてもどこからともなくおすすめされて、頭に入り込んでいるからでしょうか。
最初に見たときは「こんな服着れない!」と思った流行の服が、見慣れていくうちにだんだん欲しくなってきたり、今まで見向きもされなかったごく普通の食べ物が突然流行って、店に行列ができたり。
情報に振りまわされているうちに時間が経って、忙しく過ごしていたはずなのになんだか充実感が得られない…そんな風に考える人は少なくないはずです。
そして、人によってつくられた流行は、人によって古いものにされ、たくさんの物が作られては捨てられています。
なんだか満たされない人間に、どんどん捨てられるモノ。
このままではいけない気がすると感じる人たちが増えるのは自然なことだと思います。
世間を見渡せば、「断捨離」や「もたない暮らし」のように、自分にとって必要最低限のものを見極め、できるだけシンプルに生活しようとする考え方が注目されています。
実は私も実践しようと思いましたが、思うように続きませんでした。
週に何回も同じ服を着て会社に行くのは気が引けるし、仕事から疲れて帰ったときにリラックスできるようなインテリアも楽しみたい。
罪悪感を感じながらの「もたない」日々はなかなかつらいものです。
でも、ほんとうに大事なのは「もたない」ことではないのかもしれません。
きっと大事なのは、自分に偽りがないこと。
- 流行っているという理由で服を買い足してない?
- 安いという理由で買ったり、高いという理由で信じたりしてない?
- ○○が身体に良いっていわれているけど、ほんとうにそう?
・・・そんな視点でモノと向きあう生活を、このブログに書くことにしました。
かつて「Mottainai(もったいない)」が海外にも広まったように、Honestという価値観が身近になる日がくることをひそかに期待しています。